犬彼
「あ…明??」
「…………た……」
「え??」
「嫉妬した。翔さんに。俺の美和なのに『慰めてー』とか言ってるし。美和の前だとすっごい笑顔だし。俺美和をどっか遠くに連れて行きたくなった。
美和とお揃いのキーホルダー、とっても嬉しそうだったし。美和もそうなのかなとか考えた。」
私は黙ってそっと明の頭の上に自分の頭を乗せた。
「私も…ね、よくやきもち焼くんだ。美月にとってもやきもち妬いちゃう。」
驚いたように明は私の顔を見る。
「最初の頃は、本当は美月は明が好きで明は美月が好きなんじゃないかってずっと思ってた。
でも、美月は翔の事が好きだって言ってたし、明も…私の事好きって言ってくれたし、ちょっと安心したら、余りやきもちは妬かなくなった。今も少し妬いちゃってるけど。」
私がニコッて笑うと、安心したかのように明は笑った。
「私は明が好きだから。明が大好きだから。」
そういった途端明はぎゅっと私を抱きしめた。
「俺も。俺も美和が好き。美和が大好き。」
そして二人で見詰め合ってふふふって笑った。とても幸せな時間だった。