CoCoa.+
「で、どうしてあんなところに座ってたんだ?」
ココアを作ってくれた人はいつの間にか、ひとつ席を空けカウンターに座っていた。
「…ちょっと」
カップをテーブルの上に置き、俯く。
「まぁ…言いたくないならしょうがないけど、外で一人でボーっとしてると危ないよ」
「はい…」
「外にいるぐらいなら、店に入れ」
「はい…って…」
"え?"っていう顔をして、隣の隣を見つめる。
「俺はここのマスターで、橘。お前は?」
顔だけこっちに向け、顎でふられた。
「…鈴野 絢芽」
「すずの あやめ…か」
名前を聞き、何かを考え始めた。
「じゃあ、今日から"すずめ"な」
「すずめ!?」
すずめって…
あのスズメ!??
「ははは!ぴったりだ」
顔をくしゃっとさせ、楽しそうに笑った橘さんの笑顔は…
私をドキドキさせた。