シムーン
「――んっ…!」

口の中に甘酸っぱい味が流れて、思わず飲んでしまう。

「――はっ…」

唇が離れたのと同時に、唇から熱い吐息がこぼれ落ちた。

彼の唇の端には、さっき飲んだ赤いカクテルがあった。

彼はそれを指で拭うと、口に含んだ。

その一連の動作に、私の心臓がドキッ…と鳴った。

あまりにもキレイで、また彼に魅せられる。

「――森藤、さん…?」

「――好きなんだよ」

彼の唇から、その言葉がこぼれ落ちた。

「――お前が、好きなんだよ」
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