シムーン
「そっか…」

話を終えると、冴子は言った。

「それは、つらいよね」

私は首を縦に振ってうなずいた。

「けど、彼――森藤さんは、何て言ってたの?」

「えっ?」

「森藤さんは、真希に何て言ったの?」

冴子にそう聞かれて、私は言えなくなった。

そんな私に、
「昔はどうであれど、今は違うかも知れないよ」
と、冴子が言った。

今は違う?

「そりゃ、自分以外に思っていた人がいたら、私だってつらいよ?

けど、今は違うんでしょ?」

そう言った冴子に、私は首を縦に振ってうなずいた。
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