シムーン

前途洋々ーこれから先の未来は、君とー

全く、令嬢には参ったもんだ。

クビは逃れたものの、思いっきり叱られてしまった。


俺は窓の前に立って、夜景を見下ろしている真希に視線を向けた。

「よく飽きないな」

ネクタイをゆるめながら、俺は言った。

「だって、キレイなんだもん」

視線は夜景に向けたまま、真希が言った。

本当に、女は夜景が好きだな。

複雑な気持ちを感じながらも、俺は真希に近づいた。

「――勇…?」

そっと、真希を後ろから抱きしめた。

不意打ちも同然でされた真希は、恥ずかしそうに顔を紅くした。

これでも何回かやってるんだけどな。
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