シムーン
突然の事態に私は何も言うことができなかった。

その時、軽い力で髪が引っ張られた。

えっ?

引っ張られた方向を見ると、彼が髪の毛先を握っていた。

その距離は、かなり近い。

またもや、突然の事態である。

と言うか…いつ、私の前に移動したの?

心臓がうるさいくらいにドキドキしているのが、自分でもよくわかった。

そんな私に、彼は全く気づいていないようだった。

彼は手の中の毛先に、そっと口づけをした。

えっ、今のは何…?
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