シムーン
そう思いながらエレベーターを待っていると、隣に誰か並んだ。

チラッと目を動かして見ると、驚いた。

森藤勇だった。

何で…と思ったけれど、すぐに納得した。

同じ会社に勤めているんだった。

そして、頭に浮かんできたのが昨日のキスだった。

突然彼にされた、あのキスである。

バカ、何を考えてるのよ。

頭の中から急いでそれを消した。

発情してんじゃないわよ。

当の本人は、私の存在に全く気づいていない。

ホッと胸をなで下ろしたけれど、少し寂しいと思っている自分がいた。
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