シムーン

暗中模索ーどうして何だろうなー

茶色の髪が揺れている。

彼女だ!

「待て!」

それを追いかけるように、俺は走った。

どうして何だろう?

どうして走っているのだろう?

どうして追いかけているのだろう?

走りながら、俺はそんなことを思った。

でも走らないと、彼女がいなくなってしまうような気がした。

止めないと、彼女に会えなくなるような気がした。


「待てよ!」

やっと彼女に追いついて、その腕をつかんだ。

ちゃんと食べてるのかと思うくらいに細くて仕方がない腕は、うっかりしたら折れてしまいそうだ。
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