シムーン
課長は、何も問いかけなかった。

問いかけたとしても、私は何も答えることができなかっただろう。

静かな会議室で、彼と過ごした秘め事を。

見られてしまったかも知れないけど、私の秘密だ。

秘め事は秘め事のまま――そう思うのは、私のわがままなの?


あの日以来、彼と会うことはなかった。

変なものだ。

彼に会ったら戸惑って、彼に会えなかったら寂しくなる。

心の底から、彼を求めてしまう。

彼に会いたいと思ってしまう。
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