シムーン
「――どう思ってるの?」

「えっ…?」

聞き返した私に、彼は目を伏せた。

「――お前は、俺のことをどう思ってるの?」

一瞬、彼の言っていることがわからなかった。

――どう思ってる…?

彼が私に視線を向けた。

その目に、私の心臓がドキッ…と鳴った。

濡れたような彼のその瞳には、私が映っている。

魅せられそうになる。

その瞳に、彼に、全て魅せられそうになる。

「――タブー」

彼が言った。
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