アリィ
夏の終わり
アリィの宿題は私の多大な尽力により、二日間で見事に片づいてしまった。
というわけで、約束通り、お泊まり会最後の今日は朝から二人で出かけることになった。
「準備できたよぉ」
と脱衣所から出てきたアリィは、また明らかに一枚着忘れている下着のような姿で、
なんとなく嫌な予感がしていた私はあらかじめ用意していたカーディガンをはおらせた。
どんなに嫌がっても力づくで、と思っていたけれど、案外アリィはそれを気に入ったらしい。
「へへへ、ゆっぴーの匂いがするー」
ご機嫌なのは結構なことだが、感想が感想なだけに、今すぐ返してほしくなった。
気持ち悪い。
でもそのままの格好でいられるより何倍もマシだと言い聞かせて出かけた先は、駅前のデパート。
この田舎で遊ぶ場所といったら、ここくらいしかないのだ。
アリィの希望で、服屋をひやかして回る。
黒に金に銀、さらには蛍光色と、目に痛い配色の内装が並ぶ。
この階には、いわゆる『ギャル系』と呼ばれる種類の店が集まっている。
どうやらこういう感じがアリィの好みらしい。
「わぁ、あのショップ店員さんチョーかわいい!お人形みたい!」
その細い目がハッキリ輝いていると分かるくらい、うらやましそうに見つめているその先には、
アリィと変わらないくらい肌を露出した、でもそれが板につくほどのオーラをまとった美人がいた。
たしかに、彼女はこういうファッションが似合っている。
でも、それはこの空間でのみ許されることで、外に出たらやはり痴女だ。