アリィ




私は、ひとりだ。


世界中で、本当にひとりぼっちだ。




どうして母は死んでしまったのだろう。


どうして父とうまくやれなかったのだろう。


どうして友達をつくれなかったのだろう。




本当は、毎日楽しく暮らしたかった。


それなのに、周りを突っぱねて、うまく笑えなくて、何もかもに負い目を感じて、強がって。


親がいないからじゃない。


引っ込み思案がいけないんじゃない。


全部私が悪いんだ。


人を信じることができなくて、自分の悪いところを認められなくて、人を上から目線で見下して、

なんでも正当化するための言い訳ばかりをこね回すことでしか自分を保てなかった。


私が弱いから。


弱いから。




自覚したとたん、死んだ人間にまですがろうとしたことに恐怖を感じて、私は自分の部屋へ逃げこんだ。


追いつめられている。


まともな判断ができなくなるほどに。

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