アリィ
やると決めたからには、徹底的に行動しなければならない。
後悔はしたくない。
絶対に。
だから私は翌日、早朝から家を出て、通学路の途中でアリィを待ちぶせた。
アリィの家は駅の近くらしいことだけは知っていたので、駅の前でじっと立ち尽くしてアリィの姿を探す。
できればアリィひとりと接触したかった。
カナエ達と一緒だったら、話しかけることすらできないかもしれないから。
しかし、希望は打ち砕かれる。
人の往来が増え始めたころ。
道の向こう側からやってくると思っていたアリィは、どういうわけか駅の構内から現れたのだ。
それも、カナエ達三人と一緒に。
四人は至極楽しそうに団子のように肩を寄せ合って歩いている。
昨日はただただ驚いているばかりだったけれど、今日客観的に見てみると、
意外にもアリィはカナエ達になじんで、すっかり『ギャル』になっていた。
あまり好ましい状況じゃない。
でも、私は目ざとく見つけた。
『親友の証』を。
気持ちを強く持って。
取り戻すと決めたじゃないか。
大丈夫、大丈夫。
私は自分のカバンについている黄色いクマをぎゅっとにぎりしめて、一歩踏み出した。