アリィ
「アリィ!」
朝の喧騒に負けないように、大きな声でその名を呼んだ。
すると、呼ばれた当人以外の三人が、ぱっとこちらを振り向いた。
「はぁ?アンタ誰?」
今までの和気あいあいな雰囲気を一変させて、ノアが不機嫌そうに言った。
「何?アリィ、知り合い?」
そうミオに耳打ちされて、アリィはやっとゆっくりと私のほうを見た。
その目があまりにも不快感に満ちていたから、私は思わずひるんだ。
「ああ、アンタ知ってるよ。アリィとずっと一緒にいた奴っしょ」
ね、とカナエに同意を求められて、アリィは渋々といったふうにうなずく。
どうして、そんなに暗い目をしているんだ。
ほんの少し前まで、私に懐いてきていたアリィが、まるで夢だったかのように思えてくる。
「でぇ?あんたが今更アリィに何の用なわけ?」
「アリィはもう私達の『ソウルメイト』なんだけど」
ねー、と三人は顔を見合わせながら腕をかかげ、光るブレスレットを見せつけてきた。
アリィも、そっとそでをめくって、それをのぞかせる。
天然石のような、丸い玉が連なったそれを見ながら、私は情報過多で回転の遅くなった脳内で『ソウルメイト』の意味を考えていた。
ソウル、つまり魂。
メイト、つまり……同志?
魂の同志。
「あたしらマジ最強の絆で結ばれてるんだって」