アリィ
宗教。
一瞬この言葉が脳裏をよぎったが、そういうことはないだろう、と思い直した。
カナエ達に信仰心なんてあるはずない。
きっとこういう物や意識を共有することも、オシャレの一部なのだろう。
オシャレで人づきあいなんて、冗談じゃない。
こっちは人生がかかってるんだ。
「アリィ……」
「だから何の用だって聞いてんだろ!?」
うつむいたままのアリィに声をかけたら、カナエにすごまれて決意が折れそうになる。
でも、負けない。
負けるわけにはいかない。
「アリィ、あのね、私……」
もう一度、仲良くしたい。
そう続くはずだった言葉は、アリィの沈んだ声でさえぎられた。
「迷惑」
「……え?」
今、なんて言ったの?
今の声は、誰のもの?
理解しようとしているあいだに、アリィは「行こう」と言って三人をうながし、学校へと歩き出してしまった。