アリィ
え、待って。
だって私、まだ何も伝えられてないのに。
分からない。
何が起こっているのか、分からない。
呼吸が浅くなって、はふはふと唇を震わせながら、それでもアリィを取り戻したいと願う心が、決意が、四人の後を追わせる。
待って。
待って。
おぼつかない足取りで追いかけていると、私に気づいたノアが、「ついてくんじゃねーよ!」と怒鳴った。
それでまた足が止まりそうになったけれど、恐いけれど、でも止まらない。
どうあってもついてくる私に向かってカナエ達は「こいつマジでキメェ!」などと口々にもらしながら、歩みを早めた。
ぐんぐんと進んでいく四人に、私は足をもつれさせながら必死についていく。
けれどうまく追いつけなくて、四人と私の間には微妙な距離が生まれていた。
集団に、ひとつよけいなものがくっついている。
まるで、金魚のフン。
以前グループにいたときのことを思い出す。
あのときも、こんな感じだった。
そして見事に切り捨てられた。
今また、私は切り捨てられようとしているのだろうか。
でも、今度切り捨てられた先に、もうアリィはいない。
金魚のフン、金魚のフン、金魚のフン、頭の中でぐるぐる回っている。
私、何してるの?
それさえだんだん分からなくなってくる。