アリィ
そして、学校が目の前にせまった、そのとき。
今まで一度も振り向かなかったアリィが、突然歩みを止めて、こちらへ向き直った。
カナエ達は、アリィの背後で何事か、と様子を見ている。
私は荒れる息を整える余裕もなく、口も半開きのまま、『ギャル』になってしまったアリィの顔をぽかんと見つめた。
「どうして……」
アリィは重苦しく口を開いた。
「え」
「どうして追いかけてくるの!?」
責められている、と明らかに分かる強い口調。
こんなアリィの声を、私は聞いたことがなかった。
混乱している。
私は、今まともじゃない。
でも、だからこそ伝えたいことだけが口から出てきた。
「ねえ、見てアリィ、これ、ほら、あのクマだよ。
ずっとつけてきてって、言ってたよね。だからつけてきたの。
アリィ今でもつけてくれてるよね、これ『親友の証』だもんね。
私達、親友なんだよね?」
親友、なんだよね?
お願いだから。
親友って。
言って。