アリィ
最終章
懺悔と慟哭と白い部屋
夢をみた。
死んだ母の夢。
私を抱きしめて、「大好きよ」とほほえむ母の夢。
何度となく繰り返されてきた、この記憶の自動再生。
ただ、いつもと違うところがあった。
ずっと幼いままだった私は、今の私に成長していて、コントロールできる意識を持っていた。
「ほんとに?」
だから私は母の肩越しにたずねた。
――本当に私のこと、好き?
母は優しくうなずいた。
「じゃあ、今の私は?」
母は不思議そうな顔をした。
「今の私のことも、好きでいてくれてるの?」
臆病で、人とうまくやれなくて、勝手に自分の殻に閉じこもって、屁理屈ばかりこねて。
たったひとりの『親友』さえ守れなかった、こんな私を。
「……もう、疲れちゃったよ」