アリィ
自分が『ギャル』になりきれていないことは分かっていた。
アリィが、もう戻ってこないってことも。
それでも認めさえしなければ、現実から逃げ続けていれば、いつか本当に狂って楽になれると思った。
でもダメだった。
狂いきれなかった。
だから死ぬしかないと思った。
今なら死ねると思った。
車に跳ねられて、この体がぐちゃぐちゃに飛び散れば、私を苦しめていた奴らをこれ以上なく不快にしてやれると思った、それなのに。
私は、死にきれなかったんだ。
これからどうするんだ、一体。
生きていても仕方がないのに。
私はみんなに嫌われているし、害にしかならない、いっそ死んだ方がマシだった。
それなのに死ねなかった上に、ベッドの上でぐるぐる巻きになって、管を突っこまれて、こんな気が狂いそうなほどの痛みに『生』を突きつけられている。
腫れ上がった肉体が、「お前は生きている」と思い知らせてくる。
情けない。
情けない。
でも、もっと情けないのは、死ななかったことにほっとしている自分が心のすみっこに確かに存在していることだった。