アリィ
母について行くことだって、きっとできたはずだ。
でも、私は行かなかった。
別れは寂しかったけれど、ついて来るなと突き放され、それをすんなり受け入れてしまった。
本当は生きたかったのだ。
そうじゃなかったら、とっくの昔に綺麗さっぱり死んでいた。
それでもそうしなかったのは、私がそれだけ『生』に執着していた証拠。
みっともない。
こんなに痛いのに。
生きていてもつらいだけなのに、息をすることを止められない。
苦しい。
苦しい。
「しに……たい……」
酸素吸入器の下でつぶやいた瞬間、父はわあっと泣きだした。
「由紀子、ごめんなあ……ごめんなあ……!
もうどこにも、いかないから……!お前のそばにいるから!
だから、死なないでくれぇ……!頼むよぉ……!」
何を、いまさら。
全部、いまさらだ。