アリィ




「しにたい……しにたいぃ……」




「ごめんなあ、ごめんなあ由紀子……!」




死にたいと繰り返す私に、ひたすら泣いて謝り続ける父。


消えない憎しみと、怒り。


だけど、どこかで消しきれていなかった家族という意識が、忘れていた愛情というあたたかい光をわずかに灯した。


今の私に、このぬくもりは悲しすぎた。




「由紀子、許してくれ由紀子……!」




途絶えぬ嗚咽。


明るすぎる照明。


真っ白な視界。




胸がえぐれる。




痛い。


死にたい。


痛い。




……生きたい。




左の目尻に涙が伝った。




< 202 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop