アリィ
最近、いろんな人が私に会いにやって来る。
まずは警察の人。
「今回の『事故』のことについてだけどね」
『事故』。
世間的にはそういうふうに片づけられているらしい。
私はもう全部が面倒で、のらりくらり質問をかわした。
警察の人は終始優しかったけれど、私にやる気のないことを見抜いたのか、早々に切り上げて行った。
以降、音沙汰はない。
次は、私を跳ねた車を運転していた人。
この人はとても反省しているらしく、謝らせてほしいと申し出てきたのだけれど、私はこの人こそ今回の『事故』の最大の被害者だと知っているので、
合わせる顔がなくて、これ以上気に病まないでほしいとだけ言伝てもらって、お引き取りいただいた。
若い男性だったらしい。
私のせいで彼に前科がついてしまった。
刑務所に入れられてしまうのだろうか。
お金のことは、どうなるのだろう。
申し訳ないことをしたと後悔するけれど、どうしようもない。
誰にも迷惑をかけずに死ぬには、最初からなかったかのように消えるしかないと気づいて、また絶望した。