アリィ

自分を偽るのは、しんどい。


胸の奥からじわり、じわり、とこみ上げてくる吐き気を飲みこむような、

ギリギリの狭い箱に閉じこめられて身動きできないような……とにかく苦しくてやるせない。


他の人がどうなのかは分からないが、私は自分を感受性が豊かな人種だと思っている。


ほんの些細なことで感情が大きく揺さぶられてしまうのだ。


それを押し殺して平静を装うのには大変な苦労が必要なのだと、いったいどれくらいの人が理解してくれるだろう。


本当は、本音を隠さずにワガママに好き勝手して生きたい。


でも、アリィのようにはなりたくない。


人間には『分相応』というものがある。


何事にも不満で、ドロドロとした中身を隠しながら、おとなしく、アリィの『イケニエ』であること。


それが今の私の『分相応』で、ベストなのだろうか。


ああ、しんどい。
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