アリィ
今朝も、その夢をみた。
上体を起こすと、いつものように涙が頬を伝って毛布にしたたり、いくつかの染みを作っていく。
魂が抜け出してしまいそうな脱力感に襲われて、まばたきをする気にもなれない。
なんなんだ、病気でもないのに布団に埋もれて動けない、外からも内からも働いている、この大きな圧力。
これを憂鬱というのだろうか。
だとしたら憂鬱は正式な病気にしたほうがいい、きっと人を殺せるはずだ。
ああ、それを鬱病というのか。
病院に行ったら私は医師からもれなく鬱病という個性を与えてもらえるだろう。
……なんて、全然嬉しくない。
と、私の思考回路はこんな感じだから、朝から泣くのは致命的だ。
一日の始まりに出鼻をくじかれると、絶対に人よりダメージが大きい。
はたして私は今日をなんなくやり過ごすことができるだろうか。
いや、それ以前にここから動くことはできるのだろうか……。
しばらく呆けていたら、涙の伝った跡が乾いて頬がつっぱってきた。
かゆくて何度もこするけれど、固まってしまった跡はなかなか消えない。
――顔を洗いたい。
私はしかたなく、ベッドから降りた。