アリィ
生きてる痛み
世間はそろそろお昼時。
休日ということもあって、駅周辺は若者でにぎわっていた。
みんな古着を格好よく着こなしていたり、淡い色のワンピースの裾を優雅に揺らして歩いていたりで、
綿パンにトレーナーの私は明らかに浮いている。
オシャレな彼や彼女たちはきっと、パジャマでもこんなダサいものは着ないだろう。
かまうものか、今の私にはオシャレなんて必要ないのだ。
まだ子供で、やせっぽちなこの体は何を着たって映えない。
いろいろ始めるのは、化粧がマナーになる年頃になってからで十分だ。
だいたいオシャレなんて自己満足の世界、絶対に必要なものじゃない。
そう、私は私でいい。
真新しい建物特有のまぶしさと清潔さに迎えられて、臆しながら店内に足を踏み入れる。
このドラッグストアは先日オープンしたばかり。
まだ一度も訪れたことがなかったので、どこに何があるのか分からない。
入り口からすぐ右手にある化粧品コーナーでは、若い女の子が群がって試供品をいじっている。
カウンターでは舞台メイクを彷彿とさせる厚化粧のお姉さんが、シマウマ柄のシャツを着たおばさんのお肌チェック。
苦手な空気だ。
私はできるだけそこから離れたところを歩いた。