アリィ
探していたコーナーを見つけると、その雰囲気に圧倒された。
まるで別世界、違う性をいっさい寄せつけない神聖さが漂っていた。
私は女で、今日ここに立ち入る権利は得られたのだから遠慮することはないのだが、なんだか、とても居心地が悪い。
しかも、商品がバラエティに富み過ぎていて、私はどれを使えばいいのかさっぱり分からない。
一応『昼用』と『夜用』の、一番たくさん置いてあるものを手に取ってみた。
……恥ずかしい。
これって、「いま私は体調がブルーな日なのですよ」と公言しているのと同じではないか。
一人で頬を赤らめていると、横から熊のように太い腕が伸びてきて、私が手に取っているのと同じ『モノ』をつかんで引っこんだ。
振り向くと、めったにお目にかかれないレベルの巨大なお尻を揺さぶってカートを押していくおばさんの後姿があった。
……恥ってなんだろう。
拍子抜けしたら、ここに漂っていた神聖さがしおれた気がした。
私にそんなものあるもんかと思っていたが、たしかに胸に芽生えた『若者としてのプライド』というものが、
おばさんと同じものを使うのを拒んだので、包装紙に可愛い花柄がプリントされた『超うす型』なる少々お高い品を買うことにした。