アリィ
(あいつ、いまアレだぜ)
(不細工のくせに、女気取ってんじゃねえよ)
一度気になりだすと止まらなくて、空耳まで聞こえてくる。
必死にトレーナーのすそを引っぱってお尻を隠そうとするが、それもやり過ぎると挙動不審で、
私は顔を真っ赤にしながら耐えているしかなかった。
体が震えてきたところで信号が変わり、人が流れ出した。
私も浮つく足を一歩踏み出すと。
「あの人、うちのクラスの……」
空耳ではない。
間違いなく、背後から、そう聞こえた。
しかし、その続きを聞くのが恐くて、私は走って逃げ出した。
どうして、私ってこうなんだろう。