アリィ
そういえば、アリィが部活をしているところを見るのは、これが初めてだ。
やっぱり、ふにゃふにゃしている。
そこは想像通りだった。
でも、フォームは奇妙だが、それなりにボールを打ち返している。
ひと月前高校生になったばかりの新入部員たちに、なにやら指示を出している。
教室にいるときとは違うアリィが、そこに、いた。
そうか。
そうなんだ。
急に体の芯が冷めていく。
私は、どこにいたってあんなふうにできない。
アリィは、部活ではできている。
他の人達は、どこでだって、うまくできる。
それが全てなのではないだろうか。
できない者は、できそこないと組むしかないのだ。
私は、さっきあの子達から自分の立ち位置を明確にされただけだ。
そうだ。
それだけだ。
きっとこれからも私はアリィにイライラする毎日を送る。
でも、もう今日のように怒ることはしないだろう。
あきらめ。
この言葉が、頭の中心に沈殿していくのを感じた。