アリィ
夏休みまであと数日にせまり、浮かれモードだった我がクラスを襲った災難……クーラーが壊れてしまった。
利きが悪くなり、常に最低温度に設定されていたオンボロは昨日、
虫が飛んでいるような耳障りな声で数分鳴いたあと、突然砕けた音をたてて事切れてしまった。
「ふざけんな」
「てめぇ、壊れてんじゃねぇぞ」
今まで散々こき使われて、それでも必死に使命をまっとうしようとして力尽きた彼に対して、みんなは容赦なく暴言を吐く。
労ってあげようよ。
人知れず働くものに対して、最近特に自分を重ねてしまい、かばわずにはいられない。
悪いのはこのクーラーではなく、彼の跡継ぎの購入を渋っている学校側だ。
しかし、そんな寛大な私にも暑さは平等。
窓は全開なのに、気温と若い熱気がこもった室内はもはやサウナ状態。
休み時間だというのに誰もが遊ぶこともおしゃべりも忘れ、噴き出る汗にまみれて溶けたようにうなだれている。
「あついあついー……」
分かった。
分かったから静かにしてくれ。
額に貼りつく前髪をすくい上げてアリィをにらむと。
「痛っ……」