アリィ
「ねえねえ、ゆっぴー聞いて!アリィね、大発表があるの!」
こんな私とは正反対で、こいつはいつも幸せそうでうらやましい。
私はカバンの中身を机にしまいながら、生返事を決めこむことにした。
「アリィ、夏休みの最後の三日間は部活がお休みなのね」
そうですか、よかったですね。
「だからね、アリィ、ゆっぴーのお家にお泊りに行きます!」
そうですか、お好きになさってください。
……って。
「なに」
「なにって?」
「いま、なんて言った」
「アリィ、ゆっぴーのお家にお泊りする」
「は?どうして」
「したいから」
「し、したいからって……」
「ダメなの?」
首をかしげて上目づかいをするな、気色悪い。
「駄目じゃないけど……」
嫌だ。……なんて、さすがに言えない。