アリィ
第三章

確執



明かりのさえぎられた部屋。


ときどき、子供たちが戯れにあげる悲鳴が、遠くで聞こえる。


扇風機のぬるいため息と休みない低いうめき。


あか抜けない短パンとノースリーブ。


蒸しパンみたいなベッドを無視してフローリングに突っ伏し、せめてもの涼を得る。


本棚をはみ出して床に積み上げられた本の塔を下から見上げていると、うなじに一筋の汗が伝った。


これが、私の夏休みのすべて。




すべて、になるはずだったのに。




宿題は七月中に終わらせる主義。


今年も、もうほとんど片づけてある。


夏休みにおける学生の悩みなんて、宿題くらいのもの。


じゃあ、悩むことなんて何もないじゃない。




何もない、はずなのに。




それなのに、私のこの悲惨な状況は、どういうことか。


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