アリィ
お泊まり会
「わぁ、ここがゆっぴーのお部屋かぁ」
ついに、このときが来てしまった。
アリィが、私の部屋にいる。
他人なら誰だって嫌なのに、よりによってバカみたいに背中の開いた服を着た、アリィが。
私の部屋に。
絶望に打ちひしがれている私をよそに、アリィは物珍しそうにキョロキョロとしている。
そんなに見たって、何もない。
本棚をすっきり片づけたこの部屋は、いつにも増して殺風景になっていた。
もはや、ただの四角い箱だ。
何か感想が、いや文句が言えるのなら言ってみろ。
じっと身構えていたら、アリィは突然両手を広げた。
そしてその場でくるりと回って。
「すごい綺麗、広い、踊れそう!」
そう言って、ひとりでケラケラ笑いながら部屋中を駆け回り始めた。
踊れそう、じゃない、すでに踊っている。
かなりはしゃいでいるようだ。
何が楽しいのか分からないから、不気味でしようがない。