2章:とりあえず西へ

先輩



あの日以来コーヒーを飲みたくなるとこの店に足が自然と向いた。



いつ来てもガランとしたこの店は『螺旋』というなんとも微妙なネーミングセンスな店である。



「お兄ちゃんいらっしゃい今日もコーヒーでいい?」



いつも元気なこの子は店主の子どもで名前は『あずさ』宇宙人と地球人のハーフだ。



「有り難うあずさちゃん高校はもう終わったの?」



「うん、いまテスト期間だから早いの。今日はお父さんに会えるといいね」



あずさはそう言うとスキップしながらカウンターに入った。



カランコロンカラーン



扉が開く鐘で振り向くと大きなダンボールをもった男がひとり。

目が合った



彼は無言で近づいてきてダンボールをテーブルの上に置いた



「ついに見つかってしまったか。初めまして後輩君、初代『観測者』の文七だ。宜しく!」
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