観察対象01号大和


彼と親好を深めて2ヶ月が過ぎた



季節は夏



外には
「ミンミン、ミンミン」と連日叫び続ける集団がいる



彼ら蝉という生物のやかましさが暑さに拍車をかける



大和が言った



「んー、海でもいく?」




あの日以来彼はとても元気だ。



大和は寝転んでアイスを食べながらジャンプという雑誌に夢中だ



(何で彼はこんなに元気なんだ。いっそのこと亡き者にして脳味噌を調べたほうが早いのでは……そりゃ無理か)




私は目を皿のようにして彼を観察した




「……大和、何故青年の君が
『少年ジャンプ』を呼んでいるんだい?」



彼はおもむろに体を起こして真剣な表情をした



「『心』が少年だからさ」


「なるほど!」



とは言ってみたが
………まったく意味がわからなかったが、彼の勝ち誇った顔には説得力があった



彼はあの日以来すこぶる元気だ
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