研修が終わりビルを出ると、街は夕焼け色に染まっていた。



煙草でも……っと思ったが時代の流れなのか喫煙場がどこにも見当たらなかった



灰皿を求めて路地を進むと傾いた看板の喫茶店が目に入った。




薄暗い店内を窓越しに覗き込んだ


なんだか準備中なのか営業してるのかわからなかった



んー諦めるか……



「お兄ちゃん寄ってって」


後ろを振り返ると大きなダンボールを抱えた女の子がひとり



「いま営業してる?」



彼女は小さく頷くと扉をあけてくれとばかりに右足を伸ばした



カランコロンカラーン



薄暗い店内は暗すぎる照明がわずかに揺れていた



「お父さんお客さんだよー」



彼女はせかせかとエプロンを付けて神を縛り上げた



「はいどーぞ、宇宙人は定価の二割引きだよ」



彼女はそういうと微笑みながらメニューを手渡した
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