ショコラトリー
 今日も《Fairy》にはたくさんのお客様が様々なチョコレートを求めやってきます。
 ──その夜ショコラは、ベッドに座りノートを膝に置いたまま読むか迷っていました。


 (今日もフェアリー達は、誰かの話を物語にしているのかしら?)


 フェアリー達が考えたお話ならきっとこんなにも悩まなかった事でしょう。
 大人になるにつれ、ショコラの中で様々な葛藤が生まれていました。
 誰だって自分のプライベートを見られるなんて嫌に決まっています。
 でもショコラは、フェアリー達との繋がりがなくなるのも嫌でした。
 なんて自分勝手。
 散々悩んだあと、ショコラはノートを開きました。


 今日の日付と共に書き込まれた物語を素通りし、新しいページにメッセージを残しました。


“愛するフェアリー達へ
 私、今日限りでお話しを読むのを止めるわ。
 やっぱりいけない事だと思うの。
 だって、私がしてる行為は他人の日記を盗み読みしてるのと同じ事なんだもの。

 でも、あなた達とお別れするのは嫌なの。ワガママよね。
 だから、今度は私があなた達にお話しを書くわ。
 その日あった出来事を出来るだけたくさん!
 だから今度は、あなた達の感想を聞かせて?

P.S.
いつもありがとう。
ショコラ。”


 ショコラは閉じたノートを枕元に置くと、クヴェルへの返事を考えながら眠りにつきました。
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