GENERATION！！〜双子座星の軌跡〜２
「この土地は………気に入りませんね……」

黒い空の下、サマルは隣で辺りを見回すセレメスに呟やいた。

空には２つ、赤く血のように滲む星が見える。
こうの頭上に光る星空と同じ空の下、サマルとセレメスは
こうの目指す崖の中腹にいた。

こうは遥か下に見える崖道を岩石や気の枝に躓きながら、頂上をめざしている。
懸命な瞳にはサマル達の姿は、映っていないようだ。


こうを見下ろしながら、セレメスはサマルを見ずにその感情を受け止めた。

「…それは…お前の記憶か？」

サマルの言葉にセレメスはその感情を言葉にし、反す。


「………何が言いたいんです……」

言葉を受けたサマルの瞳は炎が宿るかのように強い光を放ち、言葉を押し出す。
そして凍るように冷たい視線を言葉の主に向けた。

「…………いや……。」

セレメスはそれだけ言うと視線を外したサマルを見つめ続けた。
まだ幼さも残るその表情は憎しみに溢れ、無理に大人びさせた眼光を見せていた。

~仕方のないことなのか……~
サマルの過去を思い返し、セレメスはサマルを見つめた。

親もなく、孤独な子ども時代を生きてきたサマルにとってはセレメスは親がわりのようなものだった。
サマルが心を許せ、ものを言うことができる唯一の存在はセレメスくらいである。


「…今回はどうするのだ？」
セレメスはサマルの感情を冷ますように静かに問いかけた。

「………奴がここに存在するだけで虫酸が走る。
奴はここから出ることも進むこと もできないはずです。
時の無駄です、セレメス。
陣をいくつか張り、戻りましょう。
私が出るまでの価値もありません。」

サマルはそう言い捨てるように踵を返し、歩き
始めていた。
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