GENERATION!!〜双子座星の軌跡〜2
「うそ………だろ…?」

あの時から…この卵を託されてから5、6年以上が過ぎ、何の変化も起こさなかった、龍の卵にヒビが入ったのだ。

リュウの頭に複雑な想いが交差する。
その想いはまだ、本人も気付かぬ、相反する二つの想い。


リュウはヒビが傷でないことを確かめるため、
卵に耳を傾け、鼓動を聞いてみる。


トクン、トクン……


いつもと同じく鼓動を打つ卵。

微かだが、それはいつもより、早く、鼓動を打っている。

ヒビは、確かに卵が孵る予兆であることを物語っていた。


「……………」

また、リュウの相反する想いが動きを鈍らせる。

おそらく命の泉の効能である、この森にこのまま卵を委ねれば必ず、この最後の白龍の仔を孵すことができるだろう………
運良く見つけた、この子の生命を息吹かせる手立て………


しかし、リュウは………
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