愛してあげる!
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「妃那ちゃーんッ!!」
校門に立っていると、遠くからあたしの名前を呼ぶ声が聞こえた。
ふ、と顔をあげると、校門から走ってくる一人の男の子の姿。
明るいオレンジの髪と、左右に2つずつつけられた派手なピアス。
それなりに整った顔立ちをしていて、性格はすごく人懐っこい。
拓巳のクラスメートで、名前は確か・・・
「あ、えーっと・・・・・・和也君?」
首を傾げながら問いかける。
彼はあたしの傍で「当たり!」と言いながら、丸い目を細めてへへっと笑った。
「嬉しいな、妃那ちゃんに覚えて貰えて」
「いつも和也君(の髪の毛が派手すぎて)見ちゃうから覚えちゃうよ」
ふふっと、微笑みながら和也君の顔を覗き込むと彼はほんの少し赤くなった。
うん、中々素直な反応でよろしい。
そういえば、和也君もかっこいいんだよな-。
その上今のところまだあんまり接点ないし。
・・・だんだんあたしの心の奥に芽生えるのは、イタズラ心。