愛してあげる!
「うわわ、美男美女ですねぇ。
今“街角のカップルにインタビュー”って企画の撮影してるんですよー」
ニコニコとハイテンションに喋るお姉さん。
どうやら、あたしたちをカップルだと勘違いして声を掛けて来たらしい。
「あー、すいません。残念ながら俺たちカップルじゃないんで」
ヒラヒラと手を振りながらあたしより先に拓巳が断る。
「え!」とお姉さんは驚いたように声をあげた。
「す、すみません!あんまりにも仲良さそうでお似合いだったので・・・」
「いえ、よく間違えられるので大丈夫です。ね、拓巳?」
「まーな」
拓巳を見て小さく笑うと、拓巳も苦笑した。
(絶対間違えられたことに対してじゃなくて、さっきまでと性格が変わったあたしに対しての苦笑)
「本当にすみませんでした」
そう言ってお姉さんは何度も頭を下げてくる。
本当は嘘ついて出たっていいんだけど・・・もしもテレビに流れたら、拓巳の学校のみんなにもあたしの学校のみんなにも変な誤解されちゃう。
ちょっとそれは困るのだ。
だから「行こ」と拓巳の手を引いてその場から逃げた。
「珍しいな、妃那があーいうの断るの」
案の定拓巳は私あたしの反応をいぶかしんだ。
「だって、後々誤解されたら面倒くさそうじゃない」
「・・・今更じゃね?」
「え?なんで?もう何か誤解されてるっけ?」