愛してあげる!
「おでこ出すの嫌いって言ってるでしょ!」と慌てて前髪を戻すと、
拓巳はクスクスと微笑み、
それから、
「俺が誘ってんの」
なんて。
拓巳は眩しいくらいの笑顔で笑った。
「お前だって、本当は俺と行きたかったんだろ?」
───本当に、なんだかんだ拓巳には敵わない。
あたしが振り回してるつもりになっても、
結局余裕たっぷりで、あたしのことなんてぜーんぶ分かっちゃってる。
秘密も嘘も通用しない、
男女の壁なんて越えた一番以心伝心の友達以上恋人未満。
「仕方ないから、行ってあげてもいいけど?」
そう返事を返した。
きっと、本音なんてバレてるんだろうけどね。
だって拓巳、
結局自信満々に笑うんだもん。
ずるいんだから、本当に。
「行くぞ、妃那」
「あたしに命令するなんて100万年はやーい!!」
「いって、殴ることないだろ!!」
「うるさい!拓巳のくせにさっきから生意気なのよ!」
(駆け引きも計算も何も通じない、特別な人)
(ちなみに結局2つ隣の駅ではカットモデルにスカウトされたのでそっちに行った・・・ごめん、拓巳!)