愛してあげる!
そう告げた瞬間、拓巳の体がびくりと震えた。
顔まで想像できてしまうあたしは、ついクスリと笑う。
拓巳、見えないつもり?気付かれてないつもり?
ダメだよ、分かるよ。
隠せないよ。
幼馴染だもん。
「拓巳がいなきゃ、あたし、ダメみたい」
今になってそんなことに気付いたあたし、やっぱりバカかな。
ゆっくり腕の力を緩めて体を離す。
至近距離で見つめた拓巳は、少しだけ赤くなって、それでも微笑んでいた。
すれ違ったあたし達だけど、
こうやって戻ってくることが出来た。
繋いだ手はもう離さない。離せない。
「あ、でも勘違いしないでね?拓巳」
けれど、自分の発言を思い直してハタと気付く。
あれ?もしかして誤解招いてない?
「?」
「あたし、別に拓巳に恋してるわけじゃないから!」
「・・・は?」
あ、やっぱり勘違いしてたーっ!!
あたしは「もう!」と頬を膨らませて拓巳を睨む。
「さっきも放送で言ったじゃん。調子乗らないでよね!」
「いや、そうだけどさ・・・お前空気読めよ」
「知らない!」
呆れた、と言った表情の拓巳の頬を抓る。
うん、こんなのがあたし達らしいのかもしれない。
ちょっと真顔でにらみ合ってたあたし達だけど、すぐにフッと笑みを零した。
あたしの隣には、やっぱり拓巳が必要なんだ。
拓巳の隣にも、きっとあたしが必要なんだ。
ねぇ、そうでしょ?拓巳───・・・