愛してあげる!
幼馴染の愛してあげる!
‐Side:Takumi‐
それから、と言えば。
妃那はまぁ案の定ミスコンでは1位を取った。
そしてキャラが変わって人気が落ちると思いきや、
「あのビジュアルで女王様キャラなのがたまらない!」
「ツンデレ萌え!」
と何故か妃那への人気はさらにヒートアップ。
(それでいいのか、お前ら!!)
妃那も妃那でその結果に満足そうだし、
何より男への振る舞いが更に自然になった。
そして男に対して媚びないことが女子への高評価へ繋がったらしく、
妃那は女友達と遊びに行くことも凄く多くなった。
別の男のところに行かないことは安心したし、
俺への無茶振りが減ったこともありがたいのだが・・・
微妙に寂しかったもする。
絶対に言ってやらないけど。
そして俺もあの一件以来、
「やるときゃやるじゃねぇか!」
とまさかの人気を得た。
ありがたいような、大きなお世話なような。
そして逆にけなされている気がするのはどうしてなのだろう・・・
あ、ちなみにサッカー部はやめていない。
───やめたのは、瑞樹先輩の方だった。
そう、瑞樹先輩と言えば。
麻里さんとはもちろん別れ、あまりの居心地の悪さに転校していった。
噂は瞬く間に広まって「嘘つき」と「浮気男」のレッテルが貼られたのだ。
瑞樹先輩がいなくなった。
その事実を知ったとき、妃那はほんの少しだけ眉を下げて、
「・・・そっか」
と小さく笑った。
「瑞樹先輩、あたしは浮気相手だったのかなぁ。それともちょっとは・・・」
一度だけ、そんな本音を呟いていたことがある。
妃那にとっては苦い初恋だっただろう。
瑞樹先輩に対する怒りはまだ冷めないけれど、
それでもそんなことよりも、妃那の心の傷を癒していきたいと俺は思っている。