愛してあげる!
妃那は俺の分身のようなもんだ。
性別なんて、血のつながりなんて、全部越えてやる。
俺の一番の理解者は妃那で、妃那の一番の理解者は俺だと自負している。
妃那がこうやって迷路のような疑問に迷い込むのは初めてじゃない。
そして俺はいつだって軽く笑ってその手を引いた。
それが俺の役目だったから。
でも、この話題ばかりは駄目だ。
恋愛に関してだけは、自分で考えて、自分で答えを見つけなきゃだめなんだよ、妃那。
だってお前は女で、俺は男だ。
考え方だって違うし、性別が違う以上いつかは違う道を行く。
恋愛はいつか結婚に繋がって、妃那の人生を決める。
大げさかもしれないけれど、妃那は大切なやつだから、それくらい真剣に考えていた。
妃那の恋愛感を、俺の一存で左右させたくなかった。
俺の膝に手を置いて答えを急かすように身を乗り出し、キスしそうなほど至近距離で俺を見つめる妃那に告げた。
「・・・ごめん、今回は答えられそうにねぇわ」
つい苦笑して答える。
俺が妃那に答えをやらなかったのは初めてで、
そのせいか妃那はちょっと驚き戸惑ったようで、
それからぐしゃりと顔を歪めて見る見るうちにその目に涙をためた。
あまりのリアクションに今度慌ててしまうのは俺。
「ちょ、お前泣くなって!」
「だ、だってぇ〜・・・」
俺は困り果てて頭を掻いた。
仕方がない。
(さすがに泣かれるのは困る)