愛してあげる!
それとも妃那とやましいメールでもしてるの?
少しだけ意地悪く口角を上げた海斗のことに「バカ言うな!」と声を上げたら、
ちょっと目を見開いて、それから彼は思い切り噴き出した。
「そんなに赤くならなくても冗談だよ。
大体、妃那と拓巳がやましいメールしてたら気持ち悪いって」
ケラケラとおなかを抱えて笑う海斗に「ったく」と俺は吐き捨てる。
なんだかんだ、4人の中で一番立場が低いのは俺の気がする。
「で、返信してあげたら?」
「どうせ“天沢先輩とのメール邪魔しないで!”って、
また最初よろしく絵文字なしのメールが来るだけだろ」
ハートマークを差し出す某口のないネコキャラや、
キラキラ光る星、
跳ね回る音符マークに、
大きくなったり小さくなったりを繰りかえすハート。
嫌味なほどに浮かれ具合を表現してる受信メール画面で電源ボタンを押せば、
一瞬で戻る見慣れた黒い待ち受け画面。
今頃妃那のヤツ、鼻歌歌ってにやけつつ体ガタガタ揺らして喜びながらメールしてんだろうなぁ・・・
(夏乃、迷惑掛けて悪ぃ。謝罪は次あったとき必ずする)
「大丈夫だよ。夏乃も呆れてはいるだろうけど、この事態予想してたと思うから」
「おー。・・・って夏乃か、お前は」
「俺たち双子だよ?それなりにお互いの気持ちは分かるって」
そんなもんかねぇ、と思いながら携帯を口の開いた鞄に放り込む。
『壊れたら携帯ショップ付き合うのあたしなんだから大切にしなさいよね!』
なんて妃那の声が、表情付きで脳裏に過ぎった。
いや、別に普通に一人でも行けるし。
携帯ショップのイケメン引っ掛けようと着いてくるのお前じゃねぇか。