愛してあげる!
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「それで来た瞬間から拓巳はアップ完了してたんだね」
納得したように頷く海斗君。
あんな距離とスピードでアップになってたら、拓巳は運動不足だと思うんだけど。
そう思いながら、さっき食堂の自動販売機で買ったイチゴオレにストローを挿した。
「そういえば、その噂の拓巳君はどうしたの?」
「拓巳、今日委員会」
「委員会?」
「そ。アイツ馬鹿だから。
最初のホームルーム中に居眠りしてめんどくさい掲示委員なんてやらされてるんだよ」
今頃職員室前で壁に画鋲刺してんじゃないの、と海斗君はケラケラ笑った。
そういえば、そんな話聞いたことあった気がする。
(それで海斗君同様散々バカにした気がする)
夏乃までもが「ホント馬鹿ね」と呆れたように笑った。
「でも、拓巳が委員会なんて珍しい」
「私が初耳なぐらい珍しいわね」
ね、と夏乃と顔を見合わせる。
「確かにー」と言いながら宙をぼんやり見つめた海斗君は「普段はクラスメートに任せきりだもんなぁ」なんて苦笑した。
拓巳めんどくさがりだからな。幼稚園の頃から。
っていうか要領悪いから小学校の頃からしょっちゅう色んな委員会やら役職やらやらされてたけど、
真面目になったことって一度でもあったっけ?
「台風でも来ないといいけど」
「まったくだね。試合中止になったら拓巳のせいだ」
「そうしたらみんなで何か奢らせてやろうよ」
夏乃が空を仰ぎ、海斗君が笑う。
あたしが良からぬ計画を立てたら、さすが双子、声をそろえて「もちろん!」と返された。