恋愛小説家のススメ!
「はい…」

「作り物だってことは、読者だって分かっています。逆に作り物だからこそ、楽しめるってこともあります」

「はあ…」

「だから、里桜クンが負い目に感じる必要は全くありません」

先輩にハッキリと言われて、何だかスッキリした。

「そう、ですね」

「はい。だから文庫化も、里桜クンが良いと思うならば、やってみると良いと思います。決して悪いことじゃないですしね」

「分かりました」

「それにしても…」

そこで言葉を区切って、先輩はくすっと笑った。

「何ですか?」

「まさか里桜くんが、恋の悩みを相談してくるとは思わなかったもので…。文庫化のことだけかと思いましたよ」
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