恋愛小説家のススメ!
「ケータイ小説家としてのあなたは、すでに有名人ですからねぇ。それにくわえ、同じ文学世界で同じペンネームを使っている人がいれば、それは疑われてもしょうがないですよ」

言いながらもパソコンを操作する手は早い。

私はベッドに座り、先輩の後姿を見つめた。

「『REN』の名前は使いまわしているので、つい…。今じゃ後悔していますよ」

「そうですね。せめてそこで違う名前を使えば、反応も違ったでしょうしね」

「ううっ…!」

「まっ、ボクみたいに里桜クンの文章のクセを知っていれば、何となくは気付く人もいるでしょうけど」

「あっ、それは平気です。柊は全く気付いていませんから」

先輩の手がピタリと止まり、顔はこちらを向いた。

「柊…あの柊クン、ですか?」

「はい、何かと私をライバル視する、悪友の柊です。アイツ、『REN』の大ファンらしいですけど、私のことだとは露とも思わず」
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