恋愛小説家のススメ!
桃枝先輩はウチの高校の卒業生だったので、柊のことは知っていた。

まあ知っているというより、図書委員の先輩・後輩だったから、当然とも言えるんだけど。

柊は先輩がオタクだということを知らない。

だから私と先輩がこんなに親しいということも知らないし、勘付いてもいない。

…案外鈍いのか? アイツは。

「柊クンが…ですか。彼は文才に対して、情熱を持っていますからね。でも気付かないというは…」

「多分、私があんな甘い恋愛小説なんて書けないだろうと思っているからでしょう」

「ああ、なるほど。偏見はよくないと、在校していた時も注意はしていたんですけどね」

先輩は苦笑し、作業に戻った。

「う~ん…。でも生徒会長の桂木がちょっと勘付いているかもしれません」

「桂木クン…まあ彼ならありえますね。彼の能力は人並みを越えていますから」

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