恋愛小説家のススメ!
今時珍しい文学少年。

…そして私の密かなライバル。

お互い国語力が強く、文章力で賞を取ることに火花を散らしていた。

「…柊。何? 借りたいの?」

「ううん、僕はもう読んだ。でも珍しいね、里桜くんがそういうの読むなんて」

「私は年頃だから。アンタこそ、こういうの読むんだ」

そう言って本を手に取り、見せた。

メガネの奥の目が、わずかに細くなった。…楽しんでやがるな。

「その作家、物語の筋がちゃんと分かりやすくて好きなんだよ。でもキミが年頃、ね。そういう言葉が出る人格じゃなかった気がするけど?」
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